『子どもの権利条約』で謳われている「子どもの最善の利益」を日本において実現するため、ハーグ条約の真実を伝える活動を行っています

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子どもの連れ去り問題が、日米関係の重要懸案事項に

出典:Japan Today 平成24年1月15日

Child abduction issue should be key concern in Japan-U.S. relations

(東京発)国際的な子どもの連れ去り問題が、日米の二国間関係の重要懸案事項になっている。

何年にも亘り、国際社会は、国境をまたいだ誘拐を防ぎ、国際的な人権基準に日本が従うよう日本に強い働きかけをしてきた。

日本は、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関するハーグ条約(1980年)」に加盟しないことで激しく非難を受けてきた。この条約により、それまで住んでいた場所から子どもが不法に連れ去られ、又は拘束されることを防ぐことができる。

菅直人前首相は、昨年の5月20日に、日本はこのハーグ条約に加盟する意思があると表明した。日本は、G8諸国の中で、唯一ハーグ条約に加盟していない国である。置き去りにされた親(Left Behind Parent)は、加盟については諸手を挙げて歓迎していない。日本の家庭裁判所が親子の再統合を図る組織に変わることが併せて必要であることからである。そして、依然として、日本の家庭裁判所は、国内と国際的な子どもの連れ去り行為を容認し続けたままである。

日本の裁判所は、通常、子どもがその時点で一緒に住む親に親権を付与するという判断をする。もし、もう一方の親が子どもに会おうとすれば、親権を獲得した親による許可が必要とされる。

これは、子どもを一方の親から先に奪った親が、交渉において優越的地位に置かれることを意味する。なぜなら、家庭裁判所は、圧倒的確率で、子どもの現在置かれている環境を追認する(Status quo)からである。

子どもを先にさらった親に単独親権を与え、連れ去りを容認する日本の司法制度を、多くの置き去りにされた親は批判している。国境をまたいだ子どもの連れ去りが生じた際、外国にいる親は無力である。なぜなら、日本の家庭裁判所は、子どもとその時点で一緒に居る親に有利な判決しか出さないからである。そのため、子どもを奪い去られた外国人の親の中には、日本を”子ども拉致のブラックホール”と呼ぶ者もいる。

日本政府がハーグ条約に加盟することとしたことは、国際的な人権基準に従う方向に日本政府が態度を改めたことを示している。

この動きは、国際的な結婚と離婚が日本で増加していることを受けてのものである。厚生労働省の統計によれば、昨年では、約1万9千組もが国際離婚に至っている。日本の離婚の総数の7.5%を占めていることになる。2010年の日本における離婚率は約36%である。そして、現在の家族法制度の下では、離婚した子どもは、一方の親に会えなくなるリスクが非常に高い状況にある。

このような状況を受けて、国際面、国内面ともに、やっと変化がおき始めている。二つのモデル・ケースがある。一つがウィスコンシンであり、もう一つが千葉の松戸である。

明治時代より、日本は、離婚後は親権を親のどちらか一方に付与する制度に固執してきた。この単独親権制度は日本文化であると称するものもいるが、実際のところ、この制度こそが、子どもの連れ去りを容認する法制度を生み出している。

2011年12月23日、4年前に日本人の母親により連れ去られた子どもが、ウィスコンシンに住む父親のもとに戻された。裁判所を通じて、連れ去られた子どもが日本から戻される最初のケースとなった。

子どもを連れ去った罪により、2011年4月にハワイで逮捕された母親が、自らの釈放の交換条件として、娘をアメリカに戻すことを認める司法取引に応じたことから、その子どもは父親と再び一緒に暮らせることになった。

このケースは、国際的なメディアと日本のメディアの双方で広く取り上げられた。そして、NHKや朝日新聞などの日本の報道機関は、初めて”連れ帰り(子連れ別居=bring home)”という言葉に代わり、”連れ去り(誘拐=abduction)”という言葉を使った。

もちろん、この司法取引をもって、日本の家庭裁判所の態度が変化したということにはならない。しかし、変化は徐々に国内の問題においても進みつつある。

子どもの連れ去り問題を追っている者は、千葉県の松戸で起きている国内の連れ去りのケースの進展を注視している。このケースは、子どもの連れ去りが不法行為であることを示す先例となるかどうかという点で、非常に注目されている。

2011年4月26日、江田五月法務大臣(当時)は、法務委員会において民法第766条について言及し、離婚後の監護権を決定する際に考慮しなければならない3つの基準を示した。

この三つの基準とは、1)子どもの連れ去りは、児童虐待として考えられるべきであること、2)監護権付与にあたっては、子どもを一方の親と面会させることを進んで認める親に有利に働くこと(これは、「友好親の原則(Friendly Parent Rule)」として知られている)、3)子どもを不法に連れ去った親は、監護権付与にあたって不利に働くこと、である。

離婚後の子どもの監護についての法的指針を規定している日本の民法第766条は、2011年6月3日に改正された。この条文には、離婚届を提出する前に両方の親が面会交流(=子どもと同居していない親と子どもとが定期的に一緒に過ごすこと)と養育費について協議しなければならないことなどが規定されている。

江田元法務大臣が明示した三つの基準のうちの一つである上述の「友好親の原則」が示すように、面会交流を認めないということは、監護権を獲得する上で不利に働くべきである。これにより、子どもが既に連れ去られているケースにおいて、置き去りにされた親が子どもの監護権を獲得しようとする場合、裁判所において、子どもを連れ去った親に対する面会交流を提案するようになるだろう。
 
この民法第766条の改正は非常に重要である。なぜなら、一方の親による子どもの連れ去りは、この新規定に反する行為となるからである。この規定が、日本の家庭裁判所において適切に執行されるのであれば、一方の親による子どもの連れ去りを防ぐことになる。

しかし、千葉県松戸で取り上げられているケースを担当する若林辰繁裁判官は、(子どもを連れ去られた親から)江田法務大臣の答弁を踏まえるように求められた際、「法務大臣が国会で何を言おうが関係ない。」と言い放ったとのことである。

この発言に対し当事者団体が若林裁判官の辞職を求める事態にまでなった。若林氏は、本ケースに対しまだ最終的な審判は下していない。国内の当事者団体と国際社会は、彼の下す審判結果を緊迫した心持ちで待っている。

更新 2012-01-15 (日) 21:30:30
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